ANTEROOM TRANSMISSION Vol. 4
- Fade In / Fade Out
2024/12/7 -2025/2/2
Exhibition
この度、ホテル アンテルーム 京都は、中村美和子、LANP、ディルク・マーティンによる3人展「Fade In / Fade Out」を開催します。本展は、2021年にHOTEL ANTEROOM KYOTOで発足した若手育成のためのアートプロジェクト「ANTEROOM TRANSMISSION」の第4弾です。
中村美和子は、すでに存在する空間を一つの視点からドローイングすることで「ものの重なり」と捉え、日常のなかで出会う形や構造を抽出します。中村はその「重なり」を再構成し、何かを切り抜いた後に残る空白や空間のようなモチーフとして平面作品へと展開します。
LANPは、キャンバスや壁画を用い、日本の原風景と人物が登場する未来的な物語性を感じさせる作品を制作しています。ヒップホップクルー「WARAJI」としての活動に加え、近年では漫画家として表現の領域を広げています。
ブレーメン(ドイツ)を拠点に活動するディルク・マーティンは、線やオブジェクトが記号的に登場するシリーズなど、キャンバス上でのグラフィティの可能性を探究しています。1989年に雑誌『エアロゾル・アタック』を共同創刊以来、世界中のヒップホップシーンにおける情報収集と研究を続けています。
本展では、BMXやブレイキングダンス、グラフィティなど、都市空間における遊びから発展し根付く文化を「言語」として捉え、都市を構成する道路や建物、グラフィックをその地の文化や歴史を刻む「文字」と解釈します。1970年代〜90年代に生まれ、手法も活動のフィールドも異なる3名の作品を通して、郊外や都市、国境などスケールを交差させていくことで現代における多層的な文脈を考察していきます。
また、若手作家育成を目的とする本プロジェクトでは、従来の枠組みを見直し、活動歴10年未満(年齢・学歴不問)の作家を対象とし、招待枠による中堅作家との取り合わせを行うことで、新たな可能性を広げ、アートプロジェクトとしてのさらなる発展を目指します。
皆様のご関心とご来場を心よりお待ち申し上げております。
ANTEROOM TRANSMISSION Vol. 4 - Fade In / Fade Out 会期:2024年12月7日(土)〜2025年2月2日(日) 時間:10時~20時 会場:ホテル アンテルーム 京都 l GALLERY 9.5 住所:京都市南区東九条明田町7番 TEL:075-681-5656 出展作家:中村美和子、LANP、ディルク・マーティン 推薦者:原田祐馬(UMA / design farm)、BAKIBAKI、豊川泰行(HOTEL ANTEROOM KYOTO) 企画:上田聖子(MISENOMA) グラフィック:後藤大樹(Foot Print) サイトデザイン:須山 千尋 英語翻訳:松山のぞみ 設営:渡邊潤(J.WAT) 撮影:松見拓也 問い合わせ先:contact@misenoma.com(企画)info@hotel-anteroom.com(広報:熊崎) オープニングレセプション:12月7日(土)
Exhibition Artists|出展作家
Recommenders| 推薦者
ExhibitionArtists|出展作家
中村 美和子
Miwako NAKAMURA
日常の中で偶然見つけたシーンをドローイングとして描きため、それらをモチーフに絵画作品を制作しています。日本の伝統的な絵画を参照した「シールのような絵画」という発想を起点に並列な画面構成の作品を制作。何層も絵の具を重ねて研磨し、厚みのある図を描くシリーズなど、表現を展開しています。
2019年佐賀大学大学院地域デザイン研究科修了。佐賀市在住。 近年の展示に、 個展「ありふれたもののシーン」(本屋青旗)、 三人展「覚えてない紙」(PERHAPS)、 個展「切られてる木」(SAGA-DAI-HATSU ART PROJECT)など。 ポッドキャスト「30分さんぽ」(SHOTOU)にも参加。
Recommenders|推薦者
原田 祐馬(UMA / design farm)
Yuma HARADA
中村美和子さんの作品は白い。白い中に何かがある。または、木に白い何かが描かれていて、時には黒い線がある。その描かれたものは、誰かの生活史と自分の生活史を覗く窓になっているんじゃないかなと思うことがある。僕は、中村美和子さんの作品をみるとアンリ・マティスの切り絵を見たときの気持ちが湧いてくる。でも、近づいてみると絵の具がたっぷりと塗り重ねられていて、まるでブールドネージュのようで絵画のようで鏡餅のようで彫刻のようで美味しそうだなと思ってしまう。ある輪郭が導き出すその抽象と具体を行き来するラインは、絵の前に立つ人の日々の生活や経験が作品を通して見透かされていく。白い、何かに期待を込めて。
大阪府吹田市出身。京都精華大学芸術学部デザイン学科建築専攻卒業後、インターメディウム研究所7期生として入学。2005年まで在籍。アーティストの椿昇に師事し、UMA / design farmを設立。どく社共同代表。名古屋芸術大学特別客員教授、グッドデザイン賞審査委員、花園近鉄ライナーズコミュニケーションディレクター、DESIGNEAST実行委員会など。たんぽぽの家の播磨靖夫理事長から「領域を横断してプロジェクトを横串にし、ガラガラぽんするデザイナー」と言われたことがきっかけでその意識を持ち活動を続けている。フィールドワークと現場を大切にし日本中を移動する。愛犬の名前はわかめ。
ExhibitionArtists|出展作家
LANP
1985年大阪生まれ。読み方はランプ、大阪在住WARAJIの絵描き。
地元・服部緑地公園でのイベント「エアコン」を主催。アーティスト、アパレルブランド、企業、ミューラルなどへアートワークを提供。漫画家としての一面も持ち現在休載中の作品「あの世でまんねん」の執筆が今年の秋から始まる。
Recommenders|推薦者
BAKIBAKI
同じ大阪・淀川区を拠点に活動するLANPは、壁画プロジェクト"淀壁"への参加を経て交流が深まり、キャンバスから壁画までより精力的にスタイルを磨いているペインターだと思われる。境界を溶かすグラデーション、表情の無いスナップやセリフの無い漫画、出所不在のキャラクターセンス。その意図的とも感じさせる欠落した要素は、鑑賞者の想像力を喚起させ作品は謎の普遍性を帯びる。そしてそれらを繋ぐ一貫したテイストは、"ほっこりしたバイブス"では無いだろうか。HIP HOPクルー "WARAJI" からリリースされた音源のジャケットで彼の作品を知る機会は多いと思うが、しっかり塗り込められた原画作品を鑑賞してほしい作家である。
BAKIBAKI
1978年大阪生まれ。2001年、京都市立芸術大学在学時にライブペイントデュオ “DOPPEL” として活動開始。
日本古来の紋様を現代にアップデートしたシグネチャーである“BAKI柄”は、伝統とストリートカルチャーの融合を体現。
その活動は、クラブカルチャーなどの音楽の現場におけるライブペインティングをルーツとしながら、現在は巨大な外壁画/パブリックアートに最も注力している。
2021年に大阪・十三を中心にした壁画プロジェクト"淀壁"を発足し、日本国内における壁画文化の認知拡大と、2025年の大阪万博に向けた地域活性化に貢献している。
ExhibitionArtists|出展作家
ディルク・マーティン
DIRK Mertin
アーティスト、ディルク・マーティン(通称 dee one)は、2024年京都で新たなシリーズとなる《Modus 83》を発表する。このシリーズにおいて、彼は自身の礎であるグラフィティ文字の典型について入念に探求する。
抽象的な文字が、形となり、表面となり、デザイン要素へと変換される。ディルク・マーティンの作品を際立たせるのは、抑えられた色彩である。キャンバスや紙の媒体で、様々なサイズのオリジナル作品が展開される。
《Modus 83》はグラフィティの起源を探る作品である。過ぎ去りし日々の文字、タグ、スタイル的要素が現代的な文脈に再解釈され、配置される。なお本展では、1997年から2024年までの《Fragments》シリーズのファインアート・プリントの特別展示も実施予定。
1971年ブレーマーハーフェン生まれ。ディルク・マーティンは1983年以来、ドイツのグラフィティ・シーンのパイオニアとして活躍している。 1987年に初の展覧会を開催後、南アフリカやアメリカなど様々な国で作品を発表。2001年からブレーメンに住み、グラフィックデザイナー、イラストレーターとして活動している。2016年にはタトゥースタジオPolarinkをオープン。ディルク・マーティンのブレーメンのスタジオでは、構想から最終的な実現まで全てのアートプロジェクトが進行している。
Recommenders|推薦者
豊川 泰行
Yasutaka TOYOKAWA
共通の知人を通じて紹介をいただいたドイツのグラフィティアーティスト・Dirk Mertin。
今回、日本での展示を検討されていた際に、若手作家育成プロジェクトである「ANTEROOM TRANSMISSION」に対する招待枠としてご参加をいただくことを提案し、若いアーティストやクリエイターの刺激になればと思い、推薦をさせていただきました。
ドイツと日本、異なる環境にありながら、互いに日常や都市の風景から影響を受けて作品を制作している3名が、どのような展示空間を生み出してくれるのか、楽しみにしております。
ホテル アンテルーム 京都 マネージャー / GALLERY 9.5 キュレーター
立命館大学ゲーム研究センター 客員研究員
館内のギャラリーや各種イベントを通じて、ゲームカルチャーを発信するプロジェクトを推進。
現代アートとインディーゲームの展覧会、ゲームをモチーフにしたコンセプトルームなど、様々な企画を展開。
その他、新進気鋭のイラストレーターによる展示会や、パフォーマンスユニットによる企画展など、アートの領域を拡張しながら次世代を担うアーティスト、クリエイターの発信を行っている。